恐怖症性不安障害の原因と克服方法が、対人恐怖症にも役立つ

恐怖症性不安障害の原因と克服方法が、対人恐怖症にも役立つ

■恐怖症性不安障害とは

「恐怖症性不安障害」は、「不安障害」の1種で、「不安障害」とは対象となるものに対する過剰な不安によって生活に支障を来す疾患の総称です。恐怖症性不安障害の場合、高いところに恐怖を感じる「高所恐怖症」や閉ざされた空間に恐怖を感じる「閉所恐怖症」など特定の場所・状況がその恐怖の対象であったり、あるいは尖ったもの・鋭いものに恐怖を感じる「先端恐怖症」、男性あるいは女性に対して恐怖を感じる「男性恐怖症・女性恐怖症」やブツブツしたものに恐怖を感じる「集合体恐怖症」など特定の物質がその対象であったりします。理性ではそんなものに異常な恐怖を感じるのは不合理だと分かっているのに、感情をコントロールできず、動悸や発汗、震え、呼吸困難などの身体的症状や気が狂ってしまうのではないかと感じるほどの強い精神的症状を表すのです。

 

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■恐怖症性不安障害の原因

恐怖症性障害を発症している本人は、何故その状況や物質にそれほど異常な恐怖心を抱くのか、自分でも原因が分からないことが多いのですが、突き止めると過去に何らかの原因がありトラウマとなっている場合が多いようです。例えば高所恐怖症の場合、「子供の頃高いところから落ちて怪我をしたことがある」「子供の頃転落事故の現場を目撃した」といったショッキングな出来事をきっかけに「高いところは恐ろしい」と脳が認知してしまいそれがずっと続いてしまうのです。このように感受性の強い子供の頃に恐怖感を植え付けられるような経験をしてしまうと、恐怖症性不安障害を発症しやすくなると考えられており、実際、不安障害は小児期から思春期にかけて発症しやすい疾患であることが分かっています。

 

また生物学的に言うと、不安や恐怖を感じるのは感情を司る脳である偏桃体によるものですが、この偏桃体の働きが強くなりすぎると不安や恐怖を感じる神経伝達物質であるセロトニンやGABAが異常に活性化して恐怖症のような過度の不安感や恐怖感を与えてしまうと考えられています。従って、恐怖性不安障害もこの偏桃体の過剰な働きが原因であり、特に日本人は他の人種よりも不安障害になりやすいことから、日本人は偏桃体の働きが強すぎる体質なのではないかとも言われているのです。また不安障害を発症する人は、完璧主義であたり心配性であったり神経質であったりといった性格的な傾向があり、加えて強いストレスに長期間さらされることで心身ともにリラックスできず些細なことでも不安を感じやすくなるようです。

 

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■恐怖症性不安障害の克服方法

恐怖症性不安障害の場合、その恐怖対象となるものによって、そもそも克服しなければならないものなのか、単にその恐怖対象に近づかなければ良いだけなのかが異なります。例えば特定の動物恐怖症であれば、その動物に近づかないようにするだけで日常生活に支障を来さずに済みます。しかし対人恐怖症であれば社会生活を営むことが難しくなりますから、これは克服すべき障害と言えるでしょう。恐怖症性不安障害を克服するのであれば、いずれにせよ専門家の助けが必要となりますが、その治療法には以下のようなことが挙げられます。

 

1.認知行動療法

前述の通り恐怖症は脳が「この物質(状況)は恐ろしい」と認知してしまっていることによりますから、まずはその間違った認識を修正する必要があります。これを認知行動療法と呼ぶのですが、そのためにはまず恐怖を感じるメカニズムを知り、自分のその思考回路を把握します。そのうえで恐怖を感じる状況を客観的に見る癖をつけていき、恐怖を感じそうになったり実際に感じたりした時にどう考えればいいか、思考を調整していくのです。例えば前述の高所恐怖症の例で言えば、「高いところ全てが以前見た転落事故現場ではない」「安全策がとられている場所なら高くても転落の危険はない」などと認識を調整していくわけです。

 

2.暴露療法

暴露療法とは、一言で言えば「あえて恐怖の対象に近づくことで心身共にその対象に慣れさせる」といういわばショック療法のことです。恐怖症性不安障害を抱えている人は、恐怖心からその対象を避け続けますから、どれだけ「本当は恐怖の対象でもなんでもない」と言い聞かせようとしても、それを実感することができません。それで、暴露療法によって少しずつその恐怖対象に近づいていき、「本当に怖いものでもなんでもないんだ」と実感させることで克服するわけです。この暴露療法のポイントは、あくまで「少しずつ」で、いきなり耐えられないほど辛い状況に直面させられるとかえって恐怖心が強まってしまうため、「辛いけれどギリギリ何とか耐えられる」程度から慣れていく必要があります。例えば再び前述の高所恐怖症の例で言えば、最初は「ビルの2階の窓から1分間外を眺める」ということから始め、3階、4階・・と徐々に高くして眺める時間も増やしていく、それらに慣れてきたなら次は橋を渡ってみる、更にはモノレールやロープウェイに乗る・・という風にレベルアップしていくわけです。

 

恐怖症性不安障害の治療では、これらに加えカウンセリングや薬物療法なども併用していきます。

 

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